賃金ってどうやって計算されているの?
ノーワーク・ノーペイの原則

会社が従業員に賃金を支払う時は、労働基準法に定められたルールを守らなくてはなりません。
労働基準法では賃金を「賃金、給与、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対価として支払うすべてのもの」と定義しています。
労働の対価として支払うもののため、労働していない分は支払う義務はないということになります。
これを『ノーワーク・ノーペイの原則』と言います。
遅刻や欠勤をした時に賃金が引かれるのはこの原則に基づいているからです。
賃金支払の五原則
労働基準法で定めている賃金のルールには賃金支払五原則とよばれるものがあります。
- 通貨払い
- 直接払い
- 全額払い
- 毎月一回以上払い
- 一定期日払い
この原則に基づき会社は賃金を従業員に支払わなければなりません。
会社から毎月25日の給料日に銀行口座に一ヶ月分の給与が振り込まれているなんてことが、当たり前のように行われていますが、この原則に基づき行われています。
時給・日給・(完全)月給・日給月給
賃金は雇用契約を結んだ時に決められた賃金計算方法によって計算されます。
アルバイトだから時給制、正社員だから月給制と決められているわけではありません。労働の対価として計算しやすい方法が取られることが多いので、アルバイトは時給のことが多いだけですね。
時給制・日給制は1時間・1日あたりの賃金が決められていて、それに働いた時間や日数をかけて計算する方法です。
月給制には完全月給制と日給月給制があります。
- 完全月給制 1ヶ月あたりの賃金が決められていて、働いた時間や日数に関わらず1ヶ月単位で賃金を計算する。
- 日給月給制 1ヶ月あたりの賃金が日給で決められていて、遅刻や欠勤があればその分の賃金が控除される。
一般的に月給というと日給月給制で計算されています。
割増賃金はどんな時に支払われるの?
法定労働時間を超えたら割増

労働基準法では一日8時間、一週間40時間と労働時間が決められています。
決められた労働時間(法定労働時間)を超えて働くと法律違反になりますが、36協定という労使協定を会社と従業員でむすべば、法定労働時間を超えて働いても法律違反にはなりません。
36協定を結んで法律違反を免れても、法定労働時間を超えて働かせた場合に会社は法律で決められた以上の割増賃金を払わなければなりません。
割増率はいくら?
- 法定時間外割増 2.5割
- 深夜割増 2.5割
- 休日割増 3.5割
- 月60時間超の時間外労働 5割
労働基準法では時間外、深夜(午後10時~午前5時)、休日の賃金割増率がそれぞれ定められています。
法律上の休日は週一日
労働基準法で決められている休日(法定休日)は原則として一週間に1日です。例外としては四週間を通じて4回という定め方も認められています。
休日は全労働者一斉でなくても、土日祝日でなくても構いません。一週間に1日の休日であればそれがいつでも良いです。
週休二日制の会社であっても、休日出勤として割増賃金を支払われるのは、一週間に1度の休日を確保できなかった日のみになります。
年次有給休暇ってなんだ?
年次有給休暇とは何?

年次有給休暇とは労働基準法で労働者保護のために設けられたノーワーク・ノーペイの原則の例外で、労働をしなくても賃金がもらえる休暇です。
年次有給休暇を略して、「年休」とも「有休」とも言いますが、どちらも同じ意味です。
どんな人が使えるの?
年次有給休暇は雇入れの日から数えて6ヶ月継続勤務をし、その全労働日の8割以上出勤した労働者に10日発生します。それ以降1年ごとに増えていき最大で6年6ヶ月の継続勤務で20日の年次有給休暇が発生します。
10日はフルタイムで働く人の年次有給休暇ですが、パートタイマーなど短時間労働者(週の所定労働時間が30時間未満かつ、週の所定労働日が4日以下)も同じように、6ヶ月継続勤務をし、その全労働日の8割以上出勤した場合には年次有給休暇は発生します。
短期労働者の場合はその所定労働時間や日数によって比例付与になります。
どうやったら使えるの?
年次有給休暇は労働者が指定する日を与えなければなりません。
しかし、労働者が指定する日に年次有給休暇を与えた場合事業の正常な運営を妨げることになるような時は、他の日に振り替えて与えることも法律では認められています。
たんに会社からみて、業務が忙しいという理由だけで休暇を与えないことは許されません。
まとめ

割増賃金率も年次有給休暇も法律で決められている基準以上を、会社の就業規則などで定めている場合は問題はありませんが、法律で定められている基準に満たない場合は法律違反となり罰則の対象となります。
正しい知識を身につけ仕事と生活のバランスを上手く取りながら働いていきたいですね。